2010年11月9日火曜日

あなたは、「陰性」です

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● [NEGATIVE]です


 昨日、手紙を受け取った。
 結果は「陰性:NEGATIVE

 9月のはじめ頃だったか、オーストラリアガバメント(オーストラリア連邦政府)から手紙をもらった。
 内容はというと、
 「あんたは老齢者なので Bowel Cancer のテストを受けてください」、
というもの。
 「Bowel Cancer」とはなんぞや。
 Cancer はガンのこと。
 これは知っていた。
 なら「Bowl」とは?。
 Bowl とは「腸」のこと。
 通常は「大腸ガン」と訳され、普通は Colorectal cancer と書かれる。
 Wikipediaでは
 「Colorectal cancer, also called colon cancer or large bowel cancer
とある。
 つまり、「大腸ガンのテストを受けよ」ということ。
 煎じ詰めれば「老人ガン検査」のご案内ということになる。
 政府が関わり合って健康の心配をしてもらうほどに老いた、ということでもある。
 さびしいですね、年をとるということは。
 
 そして9月の中頃、それが届いた。
 下が検査キット一式。







 つまり大便を採取して送る、ということである。

 小学校のはじめのころ、検便というのがあった。
 学校から小さな容器を渡され、それに便をちょっと入れて持っていく。
 いちばんはじめは、硬紙でできた容器だった。
 それがしばらくしてプラスチックケースに変わった。
 授業の始まる前に先生が回収する。
 が、緊張のせいかその日に限って出るものが出ない。
 一生懸命踏ん張るのだが。
 これはガンの検査ではなく、寄生虫の検査であった。
 
 そのころ野菜の肥料は堆肥であった。
 よって野菜には回虫のタマゴがうみつけられており、回虫持ちはクラスにもたくさんいた。
 別になんらの障害はなかったのだが。
 そういえば、回虫博士という医学博士がいた。
 お腹に回虫を飼っていて、自分の体を使っていろいろテストしており、それを綴ったものがたしか「エッセスト大賞」とかいう賞をもらったはずだが。
 調べてみましょう。
 ありました。
 藤田紘一郎博士という。

 そのうち、検便がなくなった。
 無関係に薬、つまり「虫下し」が配られ、全員飲むことになった。
 検便の手間ヒマかけるより、強制的に薬を飲ませたほうが効率がよく安上がりになったわけである。
 さらに、この薬すらなくなった。
 堆肥を肥料にすることがなくなり、肥料は化学肥料にとってかわってしまい、回虫の生息場所がなくなってしまったというわけである。
 何処にも、回虫持ちの児童が見当たらなくなってしまったのである。
 ということは便を採取するのは小学校低学年の時以来ということになる。
 小水検査というのはこれまで何度かあった。
 だいたい健康ドックにはいると採取する。
 あれ、エイズ検査かな。
 そういえば、移住申請のときも小水検査があった。

 では昨今の大便採取はどうやるかというと、
 「え、聞きたくない」
 そうですか、そうですよね。
 とりあえず、写真だけ載せておきます。
 サンプルは2つ採ります(赤と青)。
 細長いキャップで封をし、それをプラチックの円筒にいれます。
 蓋はきっちり締め込むこと。
 これで終了。







 下の用紙に必要事項を記載する。









 下の封筒に採取サンプル(2つ)と記載済み用紙を封筒に入れて送ります。
 下は確認事項の最終チェック項目。



 もちろん、封筒には切手は不要です。





 でもね、これ実行するのにためらいがあるのですよね。
 ズルズルを伸ばしてしまいました。
 なにしろ、60年近く前にやっただけですから。
 簡単なことなのですが、体が動かない。
 でも意を決してサンプルを採り投函しました。
 その日の午後、送られてきたのが督促状。
 「まだ、届いていないぞ!
って。

 なを、検査キットに一緒に入っていたのは下のブックレット。
 最後に言語案内がある。





 中国語ニ体(繁体、簡体)、クロアチア、オランダ、フィリピン、ギリシャ、イタリア、アラビア、韓国、マケドニア、マルタ、ポーランド、スラブ、トルコ、ベトナムの各言語。
 ハングルはあるのだが日本語はない。


 さて、数日後に送られてきたのが、検査結果表。
 「陰性です」という結果。
 その全文をスキャンして’おきます。


 
 つまり、「腸ガンの可能性はありません」、ではないのです。
 「ガンの可能性は低いですが、精密検査されたほうがいいです」なのです。
 だいたい、この検査の信頼性はどのくらいあるのか、腸ガンがらみについても一緒に調べてみました。

 腸癌で検索すると「大腸癌」で出てくる。
 Wikipediaを見てみる。

 大腸癌(だいちょうがん, Colorectal cancer)とは、大腸(盲腸、結腸、直腸)に発生する癌腫であり、肛門管に発生するものを含めることもある。
 正式には部位別に盲腸癌(cecum cancer)、結腸癌(Colon cancer)、直腸癌(rectum cancer)と称される。

 アメリカ合衆国においては、三番目に多い癌で、癌死の原因として二番目に多く、生涯に大腸癌に罹患する確率は約7%である。
 日本でも胃癌を追い越し肺癌についで2番目に多くなっている。
 大腸癌に進行するリスクは年齢とともに増加する。
 その多くは60歳代から70歳代で発症するが、40歳以降は定期的な検査が必要であるとされる。


 つまり、大腸ガンとは「老人性ガン」ということである。
 それで検査キットが送られてきたわけである。
 Wikipediaによるとお酒と加工肉の摂取がヤバイいようで、野菜類については確たる評価はないようである。


リスク:
 過体重・肥満:リスクが高まる事が確実視
 飲酒、加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージ):確実なリスクである

生活習慣及び栄養:
様々な国々での大腸がんの発生を比較すると、すわり作業で、高カロリー食品の食べ過ぎ、多量の赤肉又は加工肉の摂取は大腸がんの発生のリスクを高めることを強く示唆している。
 反面、健全な体重、適度な運動、良い栄養は一般的にがんのリスクを下げる。
 生活習慣を変えることにより大腸がんのリスクを 60-80%下げることができると言われている。
果物、野菜、シリアルその他の食物繊維の多量の摂取は、大腸がんと腺種のリスクを下げると考えられてきた。
 この理論を検証するため16年にわたる88,757人を対象とした調査では、食物繊維の多い食事は大腸がんのリスクを下げてはいなかった。
 2005年の別の調査でもその結果を支持している。
ハーバード大学公衆衛生学部は、「食物繊維の摂取は、健康効果のある健全な食事としてもてはやされ、心臓病、糖尿病、憩室疾患、便秘を含む様々な疾患のリスクを減少させていた。
 多くの人が信じていたにも関わらず、食物繊維には大腸がんのリスクの減少の効果はほとんど認められなかった。」と発表している。



症状:
 一般に早期大腸癌であれば自覚症状はなく、健康診断や人間ドックで発見される。
 まったく症状が現れない場合も少なくない。
 進行大腸癌でも環周度が1/4以下ならば症状はほとんどない。
 1/2周を超えると腸内容の通過障害を起こす場合がある。

 左側結腸に存在すると便通異常、腹痛、腹部膨満感などがあり、血便を伴うこともある。
 しかし、右側結腸ではこれらの症状は乏しく貧血、体重減少、腫瘤触知などの症状となる。
 これは上行結腸では内容物がまだ液体であるからであると説明されている。
 左側結腸の全周性病変になると排便困難、便秘、イレウスを起こすこともある。

検査・診断:
 大腸癌は早期に発見できれば完全治癒の可能性が大きくなる。
 集団健診では普通「便潜血反応」が行われる。潜血反応が陽性であった場合、貧血などの異常がある場合、その他の大腸癌のハイリスクの場合は、癌をはじめとする大腸疾患の確定のため大腸内視鏡検査が行われる。

便潜血反応検査(Fecal occult blood test;FOBT):
「化学的便潜血検査」と「免疫学的便潜血検査」がある。
 化学的は鉄分を含む食事によって変化してしまうため、現在は免疫学的の「ヒトヘモグロビン法」が主流。
 多くの大腸癌検診の1次スクリーニングとして広く行われている。
大腸内視鏡(Colonoscopy):
内視鏡で直腸から回盲部まで挿入し病変を観察する。
 最近ではほぼ多くの場合に2次スクリーニングの確定診断目的に施行される。
バリウム注腸二重撮像法(Double contrast barium enema;DCBE):
肛門からバリウム溶液を注入し、ついで空気を注入し、大腸や直腸の形状をX線で撮像する。
コンピュータ断層撮影法 (CT):
X線診断法で進行癌の周囲への進展度合や他臓器(特に肝臓)転移の有無を検査するのに行われる。
 他の理由で実施されたCT断層撮影で進行大腸癌が発見されることもある。
 また内視鏡や透視とは異なり、腸管の粘膜下病変を検出し、スキルスや粘膜下腫瘍、虫垂病変などの評価を行える。
現在、CTの進化に伴いCT colonographyと呼ばれる仮想大腸内視鏡が普及しつつある。
 腸管の癒着、再建を行った例では内視鏡検査が行えず、代替として有望視されている。
血液検査:
進行大腸癌があると貧血を来すことがよくある。
 貧血自体はありふれた疾患であるが、大腸がんがその原因の場合は進行がんのおそれがある。
 また、腫瘍マーカーを計測することで進行癌の存在を推定することができる。
 癌胎児性抗原(CEA)が代表的であるが、ほとんどが進行ガンでしか陽性にならず、早期ガンや前ガン病変(大腸ポリープ)の発見はできない上、費用がかかる。
直腸指診(Digital rectal examination;DRE):
医師が、潤滑剤を付けた手袋をした指で直腸に異常がないか触診する。
 簡単に実施できるが、肛門から数センチの所までしか診断できない。


 つまり、送られてきた検査キットは「便潜血反応検査」ということになる。
 ではその効能はというと、


大腸がんについて
http://www.fukayakoumonka.or.jp/daityougan.html

食生活の欧米化に伴い、日本でも欧米諸国に多い大腸がん、直腸がんが非常に増えています。
 自分では「痔」だと思っていたら検査の結果は「がん」だったということはよくあります。
 そのため成人病、及ぴ老人病検診の中に大腸がん検診が導入されることになりました。
 幸いなことに、大腸がんは他の臓器の癌に比べて比較的転移の傾向が遅く、早期発見、早期手術によって完治する確率が高いといわれてます。従って、

・便に血が混ざっている
・排便後にまだ便が残っているような感じがする(残便感)
・便秘、下痢を繰り返す

 このような症状のある方は大腸の検査を受けることが賢明です。
 成人病検診で胃の検診を毎年受けるように大腸がん検診も積極的に受けることが大切です。

  先日、新聞にこんな記事がありました。
 大腸がんの早期発見のための便潜血検査を毎年受けていて、結果が「陰性」だったので、「今年も1年安心して過ごすことができる」と思っていたら、ある日突然下血して、近くの胃腸科で大腸内視鏡検査を受けたことろ、進行がんが発見されたというものです。

「どうして?」と思うかもしれませんが、便潜血反応とは、文字の如く、「便に血液が付着しているか、いないか」の判定に過ぎません。
 つまり、「大腸がん=便潜血陽性」ではありません。
 腫瘍があっても、出血していなければ、検査の判定は「陰性」になってしまいます。
では逆に、「便潜血陽性=大腸がん」でしょうか?
 これも違います。
 便潜血陽性のほとんどは、痔核や、裂肛などの肛門の病気が原因となっている事が多いのです。
 その中に希に大腸ポリープや大腸癌が発見されるのです。
 さらには、胃潰瘍や、十二指腸潰瘍でも、出血していれば、血液が消化管を流れて「陽性」になることも珍しい話ではありません。
 若いからといって安心とは言えません。
 時には20代、30代のがんが見つかることがあります。

 現在の内視鏡は「電子内視鏡」といって、精度も向上し、以前と比べて余り苦痛もなく検査が受けられます。当院では毎日4~5人の内視鏡検査をしています。良性と思われるポリープなどは、かなりの割合で発見されます。その中には将来悪性になる、つまりがんになる可能性のあるものも含まれています。
 そのような場合、1~2年後には再度検査をして経過をみることになります。一度の検査で異常が認められなかった方は、大腸がんの検査は2年に一度の検査で充分であると、一般的に言われています。なお、がんはもちろんのこと、切除の必要のあるポリープなどが見つかった場合には、それらの治療が可能な病院に紹介します。この件に関しては病診連携についての項をご覧ください。


 つまるところ、この検査、便に血が混じっているかどうかを検査するもので、腸癌検査とは直接関係ないようです。
 でも、やらないよりやったほうがいい、もし陽性ならガンか痔か潰瘍の可能性が高くなるので、検査を絶対に受けるべきだ、ということになる。
 もし陰性でも、安全のために精密検査を受けたほうがいいということである。
 いわば、保険みたいなもののようです。
 でも明確に分かったことがある。
 「私は痔ではない」
 ということ。

 
 なを、検索していたらこの記事が出てきた。


2009.5.13 00:42
青空ニュース
http://news.eaozora.com/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=558

日本製がん検査キットに不備 豪で47万人が検査やり直しへ

 オーストラリア保健省が実施している大腸がん自己検診プログラムで、日本製検査キットに不備が見つかり、47万5000人を対象に再検査が行われることになった。同省が12日までに明らかにした。
 同日付のオーストラリアン紙によると、検査キットは日本の会社が製造、オーストラリアの会社が同省に供給している。保健省は「昨年12月以降、自己検診をした人の“疑い”率が予想以上に低かった」とし、一部に誤った結果が出た恐れがあるとみている。
 同紙は日本の会社が最近、キットに手を加えたことが不備の原因とみられると伝えた。
 自己検診キットは同省の大腸がん早期発見プログラムの一環として、同月以降、50-60代の人に無償配布された。  (共同)

TITLE:日本製がん検査キットに不備 豪で47万人が検査やり直しへ - MSN産経ニュース
URL:http://sankei.jp.msn.com/world/asia/090513/asi0905130043000-n1.htm


 この問題はすでに解決済みになっているということである。
 よって、私が受けた検査は解決済みの検査キットである。




[◆ 2010/12/22]

日経新聞 2010/12/22 11:49
http://www.nikkei.com/life/news/article/g=96958A9C93819695E0E0E2E3838DE0E0E3E0E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;da=96958A88889DE2E0E3EAEAE7E6E2E0E3E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2
男性の大腸がんリスク、簡単に計算 がんセンター

 国立がん研究センターなどは22日、40歳から69歳までの男性が今後10年間に大腸がんを発症する確率を簡単に予測できる計算式を開発した、と発表した。
 約2万8千人の追跡調査から喫煙や飲酒といった大腸がんリスクを突き止め、予測モデルをつくった。
 「生活習慣の見直しに役立ててほしい」と話している。

 大阪府や茨城県など全国6地域に住む男性約2万8千人を1993年から2005年まで追跡調査した。
 10年間に大腸がんを発症した人で多くみられた生活習慣やその程度を調べると、年齢、BMI(肥満度指数)、日々の活動量、喫煙の有無、飲酒の程度の5項目が関連していた。

 結果に基づいて、計算式を開発。
 たとえば、50歳の男性で、BMIが27、普通の活動量で、飲酒はほとんどせず、たばこも吸わない場合、確率は0.9%になる。

 計算式の正確さは、別の地域に住む男性1万8千人でも確認した。

 女性については飲酒や喫煙の習慣が男性に比べて少なく、データが足りないため、計算式がつくれなかった。

 大腸がんの発症には5項目以外の要因も関係している。
 同センターの笹月静室長は「予測できる確率はあくまでも参考程度にとどめてほしい。
 生活習慣を変えるだけで発症リスクが変わることを実感してもらえれば」と話している。

 計算式の詳細は同センターのホームページ(http://epi.ncc.go.jp/jp/jphc/outcome/)で見ることができる。


 大腸がんの発症確率を算出する方法
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(1):下の5項目に答えて、点数を出す
  ①年 齢(40~44歳0点、45~49歳1点、50~54歳3点、55~59歳4点、60~64歳5点、65~69歳6点)
    たとえば、50歳は3点
  ②BMI(25未満が0点、25以上が1点)
    たとえば、 BMI27だと1点
  ③活動量(普通の人は-1点、寝たきりだと0点)
    たとえば、会社員は-1点
  ④飲 酒(ほとんど飲まない0点、飲む1点、よく飲む2点)の習慣
    たとえば、月2~3回飲むなら0点
  ⑤喫 煙(吸わない0点、吸う1点)
    たとえば、 吸わないと0点

(2):上の点数を合計する 、
    たとえの場合は3点になる。

(3):合計点数に応じて、発症確率は以下の通り
-1点(0.2%)、
 0点(0.3%)、1点(0.5%)、2点(0.7%)、3点(0.9%)、
 4点(1.3%)、5点(1.8%)、6点(2.4%)、7点(3.3%)、
 8点(4.6%)、9点(5.9%)、10点(7.4%)






 [かもめーる]



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