2011年2月5日土曜日

「なぜ中国の母親は優秀なのか」:タイガー・マザー

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● Amy Cuya: Battle Hymn of the Tiger Mother




朝鮮日報  : 2011/02/05 12:06:56
http://www.chosunonline.com/news/20110205000025

【コラム】「なぜ中国の母親は優秀なのか」を読んで

 このような母親がいるだろうか。
 長女が7歳で上手に演奏したピアノ曲を、次女は同じ年齢のとき何度も間違えた。
 母親は1週間にわたり次女を追い詰めた。
 夕食を食べてから夜中まで、水も飲ませず、次女を叱りつけながらピアノを練習させた。
 夫が「2人(の娘)はそれぞれ違うのだから」と制すると、妻は
 「ああ、またその話。すべての人はそれぞれ特別で、失敗した人にもその人なりに特別ですって?(話にならないわ)」
と無視した。
 結局、娘は完璧に演奏できるようになり、1週間後の発表会で好評を得た。

 次女が手作りした誕生日のカードを母親は投げ捨てた。
 「あなたの考えと努力がないじゃない。あなたをマジックショーや遊園地に連れていくために、幾ら使ったと思っているの。
 わたしの月給の半分を使ってあなたの誕生日パーティーをしてあげたのに、たったこれだけ?」。
 長女も楽ではなかった。
 ある日ディナーの席で長女が行儀よくできなかったとき、母親は「ごみ」と言い放った。
 ほかの母親たちは驚いて席を離れた。

 この母親は韓国でも紹介された『帝国の未来』の著者で中国系米国人の、エイミー・チュア・イェール大学ロースクール(法科大学院)教授(48)だ。
 今月初め、同教授のこのような教育過程を書いた
 「なぜ中国の母親は優秀なのか(Why Chinese Mothers Are Superior?)」
という寄稿文と、
 『母虎の戦勝歌(Battle Hymn of the Tiger Mother)』

という著書が米国で紹介された後、米国国内で激しい賛否論争が起こっている。
 25日にオバマ大統領が国政演説で韓国と中国の教育熱に注目し「第2のスプートニク・ショック」と話したことも、加熱した論争に油を注いだ。

 チュア氏の両親はチュア氏以外の2人の娘も、ハーバード大やイェール大に進学させた。ダウン症の末娘も、国際スペシャルオリンピックスの水泳部門で金メダルを取った。
 チュア氏は両親が自分を育てたのと同じように、2人の娘を厳しく育てた。
 チュア氏は子どもたちが友達の家に泊まること、学校の演劇に参加すること、テレビを見たりコンピューターゲームをしたりすること、習い事を自分で選ぶこと、A以下の成績を取ること、ピアノとバイオリン以外の楽器を演奏することなどを禁止した。
 ところがこのように育てられた2人の娘は、勉強でも音楽でも見事な実力を発揮している。
 チュア氏は、
 「西洋の母親たちは、子どもの成績がそれほどよくなくても自尊心を損ねないよう、よくやったと褒めるが、これは間違っている」
と話す。

 子どもたちの塾が終わるのをカフェで待ちながら、大学入試の情報交換をする韓国の「カフェマム」たちも「中国の母親」に引けを取らないだろう。
 チュア氏も「わたしが知っている韓国やインドの母親たちも、『中国の母親』と同じ部類に入る」と主張した。

 チュア氏の教育法について「もともと子どもたちが賢かったからできたのだ」とか「子どもは親の自慢の種なのか」という強い批判もある。
 また、高校時代に両親としばしば激しく対立しながら夜通しコンピューターに没頭し、結局ハーバード大を中退したビル・ゲイツや、その下の世代で、やはりハーバード大を中退してソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェイスブックを創業したマーク・ザッカーバーグのような人たちが持つ創意性は、チュア氏の教育法では期待できないという指摘もある。
 そうかと思えば、『臆病者の国』という本を書いたある心理学者は
 「難関と逆境を克服し最後に成功した子どもたちは、より楽観的で断固たる意志を身に付ける」
としてチュア氏に賛同した。

 チュア氏の著書には、イェール大ロースクールの同僚教授である夫(ユダヤ系)について、ほとんど書かれていない。
 著書の副題も「ある母親と2人の娘、2匹の犬の物語」だ。
 父親はいつも「2人の娘を比較してはいけない」「子どもをそんなに脅してはいけない」と妻を制し、疲れ果ててしまう。
 しかし、もしかすると父親が子どもたちの安らぎの場だったのではないだろうか。
 どちらが正しいか確信はないが、その中間のどこかに望ましい教育法があるのではないかと思う。



 「タイガー・マスク」なら最近話題だが、「タイガー・マザー」は始めて知った。
 子どもに優しいのがタイガー・マスク、子どもに厳しいのがタイガー・マザー。
 獅子は子を千尋の谷に突き落とすという。
 それで生き延びられたものだけが、生存の権利を受ける。
 もし、死んでしまうようなら、大きくなっても生きていけないのが弱肉強食の世の中の習いという。
 動物の世界では、人間の世界のように「弱者保護」はない。
 動物世界の掟は、「種保存」の為の過酷な掟といっていい。

 種を残すには2つの方法がある。
 一つは絶対的に強い子を残す方法。
 これは狩る方の動物の生存方法。
 強くなければエサにありつけない。
 強くなければうえ死が待っているということ。
 すなわち、強食カテゴリー側の動物システム。
 肉食系になる。

 もう一つは弱いものをたくさん産んで、そのうちの僅かでも残ればいいとする方法。
 「ヘタな鉄砲も数撃ちゃ当たる」方式。
 これは狩られる側の生存方法。
 すなわち弱肉カテゴリーに属する動物のシステム。
 草食系だ。

 でも、弱肉が強食によって食いつぶされて絶えるといったことはない。
 なぜなら、弱肉が絶えたら強食のエサはなくなり、強食も共倒れになるから。
 弱肉者がいて強食者がいる。
 これが生態系のバランス。
 システムの安定性は保たれている。

 タイガーマザーは狩る側の教育法のようである。
 強者の論理。
 日本に元気があったころ「24時間働けますか」というCMがあった。
 これは狩る側のビヘービア。
 最近の日本は親が厳しさを失って、子どもは狩られる側のカテゴリーに分類されるようになってしまった。
 「いやし」とか「萌え」とかいうのは逃げまくる狩られる側の安穏を求める心理。
 草食男子の誕生である。
 中国人は今、元気である。
 肉食系である。
 日本にいるのは「コアラ・マザー」ばかりのようである。
 コアラはもちろん草食系。


 ビデオを。

'Tiger Mother' takes over global culture wars
http://www.msnbc.msn.com/id/21134540/vp/41041687#41041687
2011年1月12日
msnbc.msn.com

"Tiger Mother" Parenting Debate
http://www.youtube.com/watch?v=nx8iXyKe4-Q
2011年1月21日
アップロード元: CBS
youtube.com




 サイトから抜粋で。

閉じられたドアの向こう側で ~アメリカ暮らし21年~
http://halfwaymark.blog114.fc2.com/blog-date-20110119.html

* なぜ中国の母親は優れているのか :2011/01/19

 それにしても、チュア氏への攻撃は激しくなるばかりで、まるで集団ヒステリーである。
 ハーバードで彼女とルームシェアをしたという女性によると、チュア氏は大学での社交的な催しに一度も参加せず、拒食症と過食症をわずらっていたという。
 また、チュア氏が釈明に努めたインタビューで、移民だった両親が経済的に苦労して明け方まで働いたと話したのだが、フィリピンの華僑事情に詳しい人によると、彼女の両親は裕福で、しかも父親はUCバークレーで電気工学とコンピュータ・サイエンスの大学教授という最初からアカデミックな世界の人間であったと反論した。
 どちらも匿名の投稿なので、真偽は定かではない。
 ともかくチュア氏が反論すればするほど、さらに反感を買うような雰囲気になってきた。

 本には、チュア氏の方針に異議を唱えたというご主人も登場するのだが、今や
 「児童虐待をほっておいたユダヤ人」
と彼まで非難の対象である。

 チュア氏のようなやり方では想像力が養えないとか、人生に必要なソーシャル・スキルは身につかないとか、アメリカ人のいうことにも一理ある。
 でも、参加し ただけでメダルやトロフィーを配ったり、ちょっとしたことを大げさに褒めたたえたりするアメリカに、私はイラッとする。セルフ・エス ティーム(自尊心)は聞き飽きた。
 アメリカの教育にも問題が山積で、チュア氏の本で痛いところを付かれたふしもある。

 OECD65カ国の学力比較(2009年)によると、アメリカは算数28位、理科23位、読解17位とパッとしない。
 中国(上海)が3項目でトップなのも、アメリカ人の神経を逆撫でする。
 もっとも、上海のような都会だけで、おそらく優秀な子だけを対象にしたのだろうと私は見ている。

 第一、アメリカは平均点で図れる国ではないのである。
 優秀な人は天才レベルで、ノーベル賞受賞者数もダントツ。
 しかし、まともに読み書きや足し算ができない人間も少なくない。
 それに、全員が英語を母国語の学年レベルで使えるのではない。

 いや、こんな言い訳をしていてはいけない。
 私はまだアメリカに期待しているのだ。
 これでいいのか?!
と憤慨しつつも、アメリカの底力を感じさせるできごとがたまに起こると、まだまだ捨てたもんじゃないなと見直す。

 チュア氏は同書で、
 「中国の母親は、子どもを過剰なスケジュールに追い込むアメリカのサッカー・ママに似ていると思う人がいるかもしれないが、ぜんぜん違う。」
と前置きしたうえで、
 「中国の母親が信じる7つのこと
を挙げている。

1. 学校の勉強が第一である。
2. 「Aマイナス」は悪い成績である。
3. 子どもはクラスメートよりも「算数で2年先」にいなければならない。
4. 公共の場で「子どもを褒めること」は絶対に「してはいけない」
5. 子どもが教師やコーチに同意しない場合、親は常に教師やコーチの味方につかなければならない。
6. 子どもにやらせてあげるアクティビティは、最終的にメダルが取れるものだけである。
7. その「メダルはゴールド」でなければならない。

 日本の教育ママにも通じるところがあるのではないだろうか。
 息子たちに読み聞かせたら、笑っていた。
 長男は、
 「おかあさんだって怖いよ。
 ぼくの友だちもみんな、おかあさんが怖いって。」
と言う。

 タイガー・マザーに比べたら、私なんか子猫みたいなもんよ。





[◆]


サーチナニュース 2011/02/24(木)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0224&f=national_0224_049.shtml

【仏国ブログ】中国人家庭の行き過ぎた教育方法に疑問の声も

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)で、中国系米国人女性の猛烈な「教育ママ」ぶりが紹介され、米国・英国をはじめ、フランスでも物議を醸した。

 記事は中国系米国人女性によるもので、平均的な欧米人の親の視点からは、やや行き過ぎと考えられることもある中国人の親の子どもへの教育についてつづられている。

 この女性の2人の娘には、さまざまな禁止事項がある。
 その中には、友人の家への外泊、テレビの視聴やテレビゲームで遊ぶこと、ピアノとバイオリン以外の楽器を演奏すること、学校の演劇に参加することなどがある。
 また、最高レベルの成績を要求されており、体育と演劇以外の科目ではすべて1位の成績でなければならないと決められている。
 もちろん、これらの決まりごとに不満を言うのも禁止だ。

 この母親は、子どもたちの能力を信じているからこそ、この形で教育を進めていると語っている。
 つまり、1位になれるはずなので、そうでない場合は「怠けているから」と見なし、これを矯正する。
 学ぶことは大変であるが、いったん目標を達成すれば、周囲から賞賛され、本人にも自信が付き、さらに修練する。
 そして、成功への道のりが開けると確信しているといった内容だ。

  この中国人女性は、米国や欧米では
 「子どもの情緒や精神面を大切にする」
傾向が高すぎると指摘。
 逆に、欧米人からは、女性の教育に対して、
 「ロボットを製造するような教育」
といった、否定的なコメントが多く寄せられている。

 フランスの学校は週休3日であり、長期休暇も多い。
 日本のような塾などはほとんどないが、学校の成績はかなり重視されており、これが本人の進路を決定してしまうことも多い。
 そのため、自宅での学習が大切となるが、比較的、教育ママ・パパは少ないようだ。

  フランス人のブログ「solution de continuite」の筆者は、この母親の教育方法は少々厳しいと認めながらも、フランスの現在の教育方針に合っており、効果的ではないか、と評価している。

  筆者は、よい仕事に就き、恵まれた環境で人生を送るためには学校で一定の成績を修めることは不可欠と述べている。
 また、学校の教育者はこの女性の娘たちのような、素直で成績優秀な児童を高く評価する傾向にあると指摘。情操面や子どもの資質を伸ばすことも重要だが、これらは現状の教育システムにおいては、比較的評価されない傾向にあるとつづっている。

  実際にフランスでも中国人の子どもたちは成績が優秀である傾向だと述べ、中国人の、目標を明確に定めた教育方針は、結果が出ていると述べている。
 このことから、フランスでも「教育ママ・パパ」は否定される傾向にあるが、この考えを見直す価値は十分あるだろうと伝えている。




 [かもめーる]




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