2011年2月2日水曜日

天然ウナギのたまご


● 天然ウナギのたまご


 今日のニュースはこれ。

毎日jp 2011年2月2日
http://mainichi.jp/select/today/news/20110202k0000m040141000c.html
天然ウナギ:卵の採集に初成功 グアム島西沖…東京大など


● 東京大大気海洋研究所の資料を基に作成。写真は同研究所提供

 東京大大気海洋研究所と独立行政法人水産総合研究センターの研究チームが、天然のニホンウナギの卵を採集することに初めて成功した。
 場所は、日本の南約2200キロのグアム島西側にある西マリアナ海嶺(かいれい)付近。
 亜種も含め19種いる天然ウナギでは初の快挙で、産卵の時期と位置も特定し、謎の多かったウナギの生態解明が一気に進みそうだ。
 養殖用稚魚の大量生産技術の開発や、激減したウナギ資源の保全・管理につながると期待される。
 1日付英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に掲載された。

 温帯のウナギは川や湖で成長した後、数千キロ移動して外洋で産卵するが、回遊ルートや厳密な産卵場所は不明だった。

 東京大のチームは、91年までに採集したウナギの仔魚(しぎょ)=ふ化直後で稚魚の前段階=の採集記録や誕生後の日数を、海流や海底地形とともに解析。
 産卵は各月の新月の数日前、同海嶺の海底にそびえる海山が連なる領域で、一斉に起こるとの仮説を立てた。

 05年にはふ化後2日目の仔魚を採集、さらに08年には同研究センターが産卵後の親ウナギを初めて捕獲し、仮説をほぼ裏付けた。

 08年から共同で研究航海を始め、新月2日前の09年5月22日未明、直径約1.6ミリの卵31個を採集した。
 遺伝子解析でニホンウナギの卵であることを確認したほか、付近で産卵直後の親ウナギも捕獲した。

 採集場所は、水深が3000~4000メートルあり、異なる二つの海水がぶつかって塩分濃度が変化する約10キロ四方とごく狭い海域。
 卵は水深200メートル前後にあったとみられる。
 チームの塚本勝巳・東京大教授は「卵がふ化するまでの日数はわずか1.5日。採集できたのは幸運だった」と話す。



msn 産経ニュース 2011.2.2
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110202/trd11020201190000-n2.htm
史上初 ウナギの卵を採取 資源保全や養殖技術向上へ マリアナ諸島沖

 日本列島から南に約2000キロのマリアナ諸島沖で、ニホンウナギの卵を採取したと、東京大と水産総合研究センターの研究チームが1日付の英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表した。
 人類が初めて目にした天然ウナギの卵だ。
 世界的に激減しているウナギ資源の保全や養殖技術向上への貢献が期待される。

 東大大気海洋研究所の塚本勝巳教授らは2009年5月22日、グアム島の西のマリアナ海嶺(かいれい)南端の海山が並ぶ海域で、ニホンウナギの受精卵31個を採取した。
 卵は受精から1日半後には孵化(ふか)するので、船上で遺伝子解析を行い、ニホンウナギと確認。
 直径1・6ミリほどで、受精後約30時間。
 産卵水深は約200メートルと推定される。

 卵が採取されたのは新月の2日前。
 ニホンウナギは海山付近で新月のころに産卵するという塚本教授の「海山仮説」と「新月仮説」が完全に証明された。

 また、産卵期の親ウナギも捕獲され、ニホンウナギが複数回産卵を行うことや、オオウナギも同じ海域で産卵していることなどが分かった。

 水産総合研究センターは10年に、ウナギの完全養殖に成功しているが、稚魚(シラスウナギ)に育つ割合が低く実用化の壁になっている。
 天然ウナギの産卵生態や環境が分かると、最適な餌の開発などに生かせると期待される。

 古代ギリシャの哲学者、アリストテレスは「ウナギは泥の中から自然発生する」と書き残した。
 卵を持った親ウナギや、生まれてまもない稚魚が見つからなかったからだ。
 ウナギの産卵場所は、20世紀初めまで知られていなかった。

 1920年代に、大西洋のバミューダ島の南にあるサルガッソー海がヨーロッパウナギの産卵場所だと分かり、60年代からは太平洋でニホンウナギの産卵場所調査が本格化。
 2005年には塚本教授らが孵化後2日目の仔魚(しぎょ)(プレレプトセファルス)を採取し、マリアナ諸島沖の産卵場所を絞り込んでいた。

 南の海で生まれた仔魚は、北赤道海流と黒潮に乗って日本や台湾、中国、韓国の近海にたどりつき、シラスウナギに姿を変えて河川を遡上(そじょう)する。塚本教授によると、仔魚が採取される海域が南下する傾向があり、こうした変化がシラスウナギの資源量激減に関与している可能性がある。



ビデオ ANN News
http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210202005.html



 ウナギといえばカバヤキ。
 今、日本は冬だが、こちらは残暑。
 よってウナギは話題になる。
 日本食料品店にいけばパックのカバヤキがある。
 ちょっと焼いてタレをつける。
 海外にいても手に入らないものはない。
 地球は狭い。
 間寛平は先月、2年間にわたるアースマラソンを達成したが、ランニング中ときどきウナギのカバヤキをおいしそうに食べていた。
 応援の方の差し入れである。
 すでに焼いてあって、パックごとお湯で温めてご飯に載せればできあがり。
 レトルトお手軽カレーと同じ。
 でもこれ、ちょっと柔らかく歯ごたえが弱いのだが。
 でも見知らぬ地で、日本食に出会えるのはなんともありがたいことである。
 ましてウナギである。
 「元気になる、勇気がわく、精気がデルゾー !!」
と寛平は雄叫びをあげ、地球を走り廻ってきた。
 寛平のパワーの根源の一つはやはりウナギだろうと思う。
 そういえば昔、半世紀をはるかに超える昔、近くのウナギ屋がよくキモをもってきてくれた。
 というのは、そのころウナギモを食べるような人はいなかったのである。
 身はひじょうに高価。
 でもキモは安かった。
 よほどでないと食べる人などいなかった。
 いわゆる「ゲテモノ食い」。
 栄養たっぷり。
 よく食べたが。
 昨今はこれが高級料理である。
 ちょうど、マツタケみたいなものである。
 あのころのマツタケは安かった。
 新聞紙に包んで売っていた。

 
 以下は Wikipedia から。
 個人的な資料データですので読み飛ばしてください。


 
蒲焼や鰻丼などの調理方法が考案され、古くから日本の食文化に深い関わりを持つ魚である。
しかし川と海を行き来(回遊)し、ある程度地上を這って移動するなど、その生態は意外と知られていない。
また研究者の間でも、近年まで産卵場すら正確には把握されていなかった。
詳しい生態に関しては、まだ謎の部分が多い。
成魚は全長1m、最大で1.3mほどになる。

日本全国に分布するが、日本以外にも朝鮮半島からベトナムまで東アジアに広く分布する。
成魚が生息するのは川の中流から下流、河口、湖などだが、内湾にも生息している。
えらの他に皮膚でも呼吸できるため、体と周囲が濡れてさえいれば陸上でも生きられる。
雨の日には生息域を抜け出て他の離れた水場へ移動することもあり、路上に出現して人々を驚かせることもある。
濡れていれば切り立った絶壁でも体をくねらせて這い登るため、「うなぎのぼり」という比喩の語源となっている。

細長い体を隠すことができる砂の中や岩の割れ目などを好み、日中はそこに潜んでじっとしている。
夜行性で、夜になると餌を求めて活発に動き出し、甲殻類や水生昆虫、カエル、小魚などいろいろな小動物を捕食する。

泳ぎはさほど上手くなく、遊泳速度は遅い。
他の魚と異なり、ヘビのように体を横にくねらせて波打たせることで推進力を得る。
このような遊泳方法は蛇行型と呼ばれ、ウツボやハモ、アナゴなどウナギと似た体型の魚に見られる。

体内調節が得意なため、淡水でも海水でも生きられる。
ウナギは淡水魚として知られているが、海で産卵・孵化を行い、淡水にさかのぼってくる「降河回遊(こうかかいゆう)」という生活形態をとる。

従来、ウナギの産卵場所はフィリピン海溝付近の海域とされたが、外洋域の深海ということもあり長年にわたる謎であった。
しかし、2006年2月、東京大学海洋研究所の教授・塚本勝巳をはじめとする研究チームが、ニホンウナギの産卵場所がグアム島やマリアナ諸島の西側沖のマリアナ海嶺のスルガ海山付近であることを、ほぼ突き止めた。
これは孵化後2日目の仔魚を多数採集することに成功し、その遺伝子を調べニホンウナギであることが確認されている。
冬に産卵するという従来の説は誤りとされ、現在は6~7月の新月の日に一斉に産卵するという説が有力である。

2008年6月および8月には、水産庁と水産総合研究センターによる調査チームが、同じくマリアナ諸島沖の水深200~350メートルの範囲で、成熟したニホンウナギおよびオオウナギの捕獲に世界で初めて成功した。
雄には成熟した精巣が、雌には産卵後と推定される収縮した卵巣が認められた。
また、水深100~150メートルの範囲で、孵化後2~3日経過したと思われる仔魚(プレレプトケファルス)26匹も採集された。
さらに、プレレプトケファルスが生息する層の水温が、摂氏26.5~28度であることを初めて確認した。
この結果から、比較的浅いスルガ海山の山頂付近ではなく、もう少し深い中層を遊泳しながら産卵をしているという推定を得ることができた[2]。

この推定を基に、塚本らの研究チームが周辺海域をさらに調査したところ、2009年5月22日未明、マリアナ海嶺の南端近くの水深約160メートル、水温が摂氏約26度の海域で、直径約1.6ミリメートルの受精卵とみられるものを発見。
遺伝子解析の結果、天然卵31個を確認した。
天然卵の採集は世界初である。同時に、卵は水深約200メートルで産まれ、約30時間かけてこの深さまで上がりながら孵化することも判明した。

卵から2~3日で孵化した仔魚はレプトケファルス(葉形幼生、Leptocephalus)と呼ばれ、親とは似つかない柳の葉のような形をしている。
この体型はまだ遊泳力のない仔魚が、海流に乗って移動するための浮遊適応であると考えられている。
レプトケファルスは成長して稚魚になる段階で変態を行い、扁平な体から円筒形の体へと形を変え「シラスウナギ」となる。
シラスウナギは体型こそ成魚に近くなっているが体はほぼ透明で、全長もまだ5センチほどしかない。

シラスウナギは黒潮に乗って生息域の東南アジア沿岸にたどり着き、川をさかのぼる。
流れの激しいところは川岸に上陸し、水際を這ってさかのぼる。
川で小動物を捕食して成長し、 5年から十数年ほどかけて成熟する。
その後ウナギは川を下り、産卵場へと向かうが、その経路に関してはまだよく分かっていない。
海に注ぐ河口付近に棲息するものは、淡水・汽水・海水に常時適応できるため、自由に行き来して生活するが、琵琶湖や猪苗代湖等の大型湖沼では、産卵期に降海するまで棲息湖沼と周辺の河川の淡水域のみで生活することが多い。
また、近年の琵琶湖等、いくつかの湖沼では外洋へ注ぐ河川に堰が造られたり、大規模な河川改修によって外洋とを往来できなくなり、湖内のウナギが激減したため、稚魚の放流が行われている。

日本ではウナギは重要な食用魚の一つで、年間11万トンものウナギが消費されている。
20世紀後半頃には養殖技術が確立され、輸入も行われるようになったとはいえ、野生のウナギ(天然もの)の人気は根強く、釣りや延縄などで漁獲されている。
さらにウナギに的を絞った伝統漁法も各地にある。

日本のウナギ養殖(養鰻)は、1879年(明治12年)に東京深川で試みられたが、太平洋戦争によって一時衰退する。
後に養鰻の中心地は浜名湖周辺へ移った。
1891年(明治24年)に、原田仙右エ門という人物が7ヘクタールの池を造り、日本で初めて人工池での養鰻を試みたのが、浜名湖の養殖ウナギのルーツである。
温暖な気候や地下水などウナギの生育に適した環境に加え、浜名湖や天竜川河口でシラスウナギが多く獲れたことが、この地で養鰻業が盛んになった理由とされている。
現在、国内での都道府県別の養殖ウナギ収穫量は鹿児島県が最も多く、次いで愛知県、宮崎県、静岡県、高知県の順となっている。
日本全体の活鰻は2005年度で約2万トン養殖されている。

輸入品は台湾が20年以上の歴史を持っているが、現在はヨーロッパウナギのシラスウナギの稚魚を中国に輸入し養殖したウナギが主流である。
台湾の活鰻は2005年度で約2万トン、中国は約5万トンと言われる。
種類は、日本と台湾ではニホンウナギ Anguilla japonica のみで、中国ではニホンウナギ Anguilla japonica とヨーロッパウナギ Anguilla anguilla が8 : 2くらいである。
門司税関博多税関支署によると土用の丑の日がある7月が、年間を通して輸入量はピークになる。
2005年は6月の輸入量に比べて、7月は2倍近くの139トンに増加していた。
2006年は検査の強化や中国側が輸出を控えているため、台湾産が増えている。

ウナギの養殖はまず、天然のシラスウナギを捕ることから始まる。
黒潮に乗って日本沿岸にたどり着いたウナギの子供、シラスウナギを大量に漁獲してこれを育てるのである。
養殖方法は、台湾と中国南部の広東省では池を掘っただけの露地養殖、日本と中国の福建省ではビニールハウスを利用した養殖が主流である。
ハウス養殖は、ボイラーを焚いて水温を約30℃に保っており、成長を早めることができる。

なお、ウナギの人工孵化は1973年に北海道大学において初めて成功し、2003年には三重県の水産総合研究センター養殖研究所が完全養殖に世界で初めて成功したと発表した。
しかし人工孵化と孵化直後養殖技術はいまだ莫大な費用がかかり、成功率も低いため研究中で、養殖種苗となるシラスウナギを海岸で捕獲し、成魚になるまで養殖する方法しか商業的には実現していない。
自然界における個体数の減少、稚魚の減少にも直接つながっており、養殖産業自身も打撃を受けつつある。
そうした中での2010年、水産総合研究センターが人工孵化したウナギを親ウナギに成長させ、さらに次の世代の稚魚を誕生させるという「完全養殖」に世界で初めて成功したと発表。
25万個余りの卵が生まれ、このうち75%が孵化したと報じており、先に述べた稚魚の漁獲高減少もあって、期待を集めている。

また、養殖ウナギと天然ウナギの見分け方は胴回りの太さと腹の部分の色で見分けられる。
一般的に天然ウナギの方が養殖ウナギよりも胴回りが太く、腹の色が黄色がかっている。



 そういえばウナギもしばらく食べていないな。
 「メザシとウナギ」では「貧民とお大臣様」といった感じになる。
 うな丼を前にしたら、
 「おおう、ウナギだ!」
と、わなわな震えがくるかもしれない。





 [かもめーる]




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