2011年3月16日水曜日

東日本大震災:韓国報道を拾ってみる

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● 朝鮮日報より


 被害と復興について。


記事入力 : 2011/03/16 15:59:39
http://www.chosunonline.com/news/20110316000070

東日本巨大地震:経済への影響、分かれる見方

 1995年1月に起きた阪神大震災(マグニチュード7.2)の際、日本経済はV字型で回復したようにみえた。
 国内総生産(GDP)成長率は、直前の1994年第4四半期の2.7%(前年同期比)から、95年第1四半期には3.4%へとむしろ高まった。
 95年の日本の成長率は1.9%で、93年の0.2%、94年の0.9%に比べ高かった。

 被災地の復旧には相当期間かかった。
 当初は「復興特需」で地域経済も活気を帯びたかに見えたが、都市機能が正常化し、神戸港が元の姿を取り戻すのに約2年を要した。
 神戸港のコンテナ取扱量は10年が過ぎても、以前の 70%の水準にとどまっている。
 1993年を100とすると、2005年の神戸地区の域内総生産(GDP)は90程度にすぎない。

 従って、今回東北地方を襲った巨大地震でも、復興までには数年がかかる見通しだ。
 被害範囲が小さかった阪神大震災に比べ、今回の地震は被害範囲が非常に広く、産業の心臓となる原発など発電所が大きな打撃を受けたためだ。

 さらに、日本経済は2008年の世界的な金融危機で衰弱しており、財政状況も健全ではない。
 野村証券は14日、
 「阪神大震災の当時には、政府の復興事業に対する支出で短期間はV字型の回復を示したが、今回は難しいのではないか」
と分析した。

■経済的被害は予想以下との指摘も

 東日本巨大地震による経済的影響をめぐっては、予想が機関ごとに大きく食い違っている。
 今回の地震による経済的被害は、95年の阪神大震災の1400億ドル(約11兆4000億円)よりも小さいとの主張もある。

 米国の災害リスク管理会社、エアワールドワイドは、今回の地震で最も影響を受けた4地区の保険加入財産に基づき、被害額を3000億ドル(約24 兆5000億円)と試算した。
 欧州の投資銀行、クレディ・スイスは日本の国内総生産(約5兆ドル=約404兆円)の2-3%に相当する1000億-1500億ドル(約8兆1700億-12兆2500億円)の被害が出たと試算した。
 一方、野村証券は「今回の地震は地方で発生したために被害は大きくない」と分析した。

 とはいえ、今回の地震災害はまだ現在進行形で、被害額の推定は困難な状況だ。

■V字型回復は困難

 災害復興には相当長期化するとの見方も出ている。
 阪神大震災の際、日本政府は3回の補正予算で3兆2000億円を復興費用として投じた。
 1994年の日本の財政赤字はGDPの3.8%で、赤字を拡大させる余力があった。
 95年の日本の政府債務残高の対GDP比は86.2%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均(72.3%)を13.9ポイント上回っているにすぎなかった。

 しかし、今年は状況が異なる。
 日本の財政赤字はGDPの7.5%に達し、政府債務残高の対GDP比は世界最高の204.2%に達するとみられている。
 OECDの平均(100.7%)の2倍を超える水準だ。

 日本の政界では現在、復興費用に10兆円が必要だとの論議があるが、現在日本政府が使える財政資金はわずか2000億円しかない。
 残りは補正予算などで調達しなければならない。
 仏ソシエテ・ジェネラルの大久保琢史チーフエコノミストは「日本政府は阪神大震災当時ほど財政状況が良くない。
 追加予算の規模は1兆円程度になるのではないか」と指摘した。

 今回の大地震の被災地は広大で、復旧に不可欠な電力が不足していることも問題だ。
 首都東京をはじめ、東日本地域では夏から秋にかけても電力難が懸念される。
 電気がなければ生産はできず、広範囲で道路が破損しているため、復旧物資の搬送もままならない。

■結局は回復へ

 20世紀以降に自然災害の影響で経済が崩壊したことはほとんどない。
 米国の経済専門チャンネルCNBCは
 「地震は経済的な打撃を与えるが、復興過程で雇用創出や消費増加が見込まれる」
と指摘した。

 LG経済研究院のイ・グンテ研究委員は
 「日本経済は慢性的な需要不足が大きな問題だったが、地震の復旧で需要が生じれば、長期的に成長をけん引する役割を果たすのではないか」
と分析した。


 被害推定では24兆円という。
 本当だろうか。
 国家予算と同等くらいの「100兆円」規模だと私は思っているが。
 24兆円といったちっぽけな数字では断じてないと思う。
 こういう試算はハード的な部分で行われる。
 がしかし被害というのはソフト的な部分でも起きている。
 たとえば、神戸大震災なら神戸近辺の観光はストップするだろう。
 今回の場合は、日本全国の規模で観光産業は潰れる。
 日本から外国人がいなくなる。
 外国居住者はどんどん引き上げ、入ってくる人もいなくなる。
 外国人観光客など東京からみごとにきれいに’いなくなる。
 実際フランスは、特別に用のない人は日本を離れるように忠告を出している。
 同時に、国内旅行も行われなくなる。
 とすれば観光産業なる産業が最終的に日本から消えていく。
 そういうこともありうる。
 それ以外にもいろいろあるだろう。
 それらを懸案すれば、決してGDPの6%に収まるはずがない。


朝鮮日報 記事入力 : 2011/03/16 16:02:18
http://www.chosunonline.com/news/20110316000073

東日本巨大地震:希望は巨額の対外債権
3600兆ウォン相当の純資産、世界最大の債権国

韓国の3.5倍

 「日本は巨額の国家債務を抱えている」
という表現は、事実の半分しか言い当てていない。

 日本政府は毎年巨額の財政赤字を記録しているが、これは「政府」に限定した話だ。
 日本という国そのものは、世界最大の債権国、すなわち大変な「富裕国」だ。
 しかも、財産が引き続き増えていく傾向にある。

 2009年末現在、日本の対外純債権額(海外に持っている債権から、海外に負っている債務を引いた額)は「266兆円」に達する。
これは、日本の国内総生産(GDP)の55%に当たる額だ。
 阪神・淡路大震災が起こった95年の時点で、日本の対外純債権は84兆円という水準だったが、01年には2倍を超える179兆円に増え、07年には250兆円を超えた。

 日本の対外純債権額は韓国(昨年末現在で約1000兆ウォン=現在のレートで約73兆円)の3.5倍を超え、日本経済を影から支える「底力」の役割を果たしている。

 政府が借金の山の上にいるのに、これほどの巨額の財産はどこに隠れているのか。
 答えは、企業をはじめとする民間セクターだ。
 純資産全体の約60%を民間企業や個人が、20%余りを銀行が持っているという。

 史上最悪の被害を出した今回の大地震をめぐり、日本の被害額を正確に推算するのは難しいが、金額を大きく見積もる人は、GDPの3-6%と予想する。
 日本が本当に貧しい国なら、外債を発行するか、インフレを承知で通貨の発行量を増やさなければならないため、円の価値が下がると考えられるが、こうした事情により、地震直後はむしろ円が高くなる様相を示した。
 日本が海外に持っている資産を円に替え、復旧資金に充てると予想されるからだ。
 世宗大のイ・ジョンウン教授(国際金融専攻)は「日本は対外純資産が多いため、今回のような大地震が起こっても、安全な外国に資金が逃げる資本逃避が起こる懸念がない国」と語った。


 GDPの「3%--6%」。
 名目GDPを500兆円とすると、3%ならたったの15兆円、6%で30兆円。
 そんなわけがない。
 100兆円とすると「20%」にあたる。
 このくらいは最低見込んでおいたほうがいい。
 もっと増えるかもしれないとおもっていてもあながちおかしくはない。



朝鮮日報 記事入力 : 2011/03/16 16:01:03
http://www.chosunonline.com/news/20110316000072

東日本巨大地震:独創的な技術力、日本経済の光



 東日本巨大地震で工場の操業が中断した企業のリストには、東芝、村田製作所、住友金属なども含まれている。
 これら企業の生産品目には、世界シェアが70-80%に達するものも少なくない。
 独創的な技術力と圧倒的な市場シェアを誇り、諸外国の企業の製品では代替不可能だ。
 それこそ、大地震による甚大な被害にもかかわらず、日本の製造業が再建を果たす上で希望と言える。

 具体的に品目を挙げると、それが明らかになる。
 旭硝子はプラズマディスプレー用のガラス基板市場でシェア80%を占める。
 住友金属と日本ゼオンは、そえぞれ液晶ディスプレー用の二層めっき基板、携帯電話用カメラレンズ樹脂で90%のシェアを握る。
 村田製作所がシェア1位を走る積層セラミックコンデンサー(MLCC)は、あらゆる電子製品に使われる「産業のコメ」だ。

 一般人には聞き慣れない分野だが、日本企業は他社が太刀打ちできないほどの独占的なシェアを占めている。
 自動車部品、鉄鋼素材、炭素繊維なども日本が世界市場で先頭グループに入る分野だ。

 韓国は半導体、液晶パネル分野で日本を抜き、世界1位となったが、そこに搭載される主な部品・素材は依然として日本への依存度が高い。
 昨年日本に輸出した部品は138億ドル(約1兆1300億円)だったのに対し、輸入は381億ドル(約3兆1100億円)と3倍に達した。

 日本の部品素材メーカーは、すき間市場をないがしろにせず、徹底的に掘り下げたことで世界市場を制覇した。
 特に電気自動車のバッテリーに使われる薄膜素材、触媒、特殊合金などの競争力は最高といえる。

 産業研究院のチョ・チョル研究委員は
 「こうした分野は市場規模が大きくないにもかかわらず、日本企業は世界市場を舞台に『規模の経済』を達成した。
 地震被害を受けたとしても、根本的な強みや競争力は全く揺らぐことはなかった」
と指摘した。



 現地で。


朝鮮日報 記事入力 : 2011/03/16 11:32:06
http://www.chosunonline.com/news/20110316000048

【コラム】被災者よ、もっと声を上げよ
津波被災地にて

 東日本巨大地震の発生翌日、東京に到着し、最初に取材したのは津波被害を受けた千葉県内の被災地だった。
 一部土留めが崩れ、建物が傾いているところもあったが、翌日訪れた東北地方沿岸に比べれば、被害ははるかに小さかった。
 千葉の被災地で目にしたのは、断水で炊事できない住民の「秩序ある買い占め」だった。
 午後3時ごろには食品はほとんど売り切れた。
 即席めん、インスタント食品、冷凍食品の売り場は空っぽだった。
 飲料水は買い占めを防ぐため、数量を限定し、売り場の入り口付近で配給方式で販売されていた。

 翌日、寸断された道路を避けながら、大きな被害を受けた宮城県に到着した。
 午後5時に千葉を出発し、仙台市の沿岸部に到着したのは翌日午後9時だった。
 夜が明けて、目の前に迫る光景は悲惨だった。
 海岸にある木造住宅は軒並み跡形もなく倒れ、仙台港の貨物船は埠頭(ふとう)に乗り上げていた。
 日本三景の一つ、松島に向かう道路は泥に埋もれていた。

 被災者は本当の沈着だった。
 家族を失った人々は静かに涙を流し、生きていた家族と劇的に再会した人も、悲しみにくれる人たちを配慮し、静かに喜んだ。空腹でも食べ物をもっとくれと騒ぐ人はなく、切羽詰まって立ち小便する人もいなかった。
 ペットを連れて避難所に入ることを禁じられると、子犬を抱き、避難所の外で布団をかぶって寝る人の姿も見られた。
 危機に直面した彼らは、普段よりもさらに声を押し殺し、ぐっとこらえていた。

 ここに来るまでに感じたことがある。
 28時間かけて運転する道中、救援物資を積んだトラックの列を見かけなかった。
 裕福な日本はなぜ自国内で十分な物資を送るのにこんなに時間がかかるのか。
 被災地の人々はおにぎり1個で1日を耐え忍んでいるというのに、首都圏の人々の買い占めによって、被災地に送る物資が足りなくなる(15日付朝日新聞)という矛盾した現実がなぜ報じられるのか。
 「恥ずべき姿だ」と互いを非難し、自衛隊でも動員して、システムを整える方がましではないか。

 日本人は自分よりも他人に配慮する民族だと言われる。
 5年半の特派員生活で接した普段の日本人はそうだった。
 地下鉄でも、争って座ろうとする行動を恥じる国民だ。
 そんな日本人をわたしは今も尊敬している。
 被災地の住民も涙が出るほど互いに配慮し合う姿をみせている。
 彼らは政府を恨んだりしない。
 しかし、首都圏の人々の行動は、そういう評判とはかけ離れている。
 静かに列をつくり、もっとくれと騒いだりはしないが、買い占めには違いない。
 むしろ売り場に殺到して騒いだ方が、深刻な状況が際立ち、状況を改善する上では有効だ。
 むしろ醜い本質はそのままさらけ出すべきだ。

 被災者の人々には「早く食べ物をくれ、早くトイレをつくれと、もっと声を上げてはどうか」と言いたい。
 「耐えることだけが良いわけではない」
と叫びたい。
 声を荒げて、こぶしを振り上げなくても救援物資が迅速に届く状況であれば構わない。
 しかし、現実はそうではない。
 今の日本は
 「耐える民族」
 「礼儀正しい民族」
という自己催眠に陥り、自ら苦痛を生み出している。



朝鮮日報 記事入力 : 2011/03/16 11:22:44
http://www.chosunonline.com/news/20110316000045

東日本巨大地震:「マニュアル社会」日本も打つ手なし
鮮于鉦記者の山形ルポ

 災害への備えでは世界に名の知れた日本だが、今回の大地震と津波ではその備えも完全に破壊された。
 凄惨な被害現場を歩くと、世界が認める安全大国の日本でさえ打つ手がなかったほど、今回の災害が深刻なものだったことがわかる。
 想定されたレベルをはるかに上回る災害に対しては、マニュアルに従って動く日本式システムも稼働しなかったのだ。

 津波により町が全滅した岩手県下閉伊郡山田町では、710人の被災者が20カ所の避難所に分かれて避難していた。
 被災者たちは地震と津波が発生した11日以降、1日1個のおにぎりと水だけで過ごしている。
 沼崎町長は
 「わたしは今日(15日)も食事をしていない。山田町は完全に孤立している。
 1日も早く、何らかの配給があればと思う」
と話した。

 14日には仙台駅前の繁華街で突然長蛇の列ができた。
 2時間以上待って手にしたのは1杯のみそ汁だ。
 このみそ汁を口にした人の中には、泣く人もいれば笑う人もいた。
 30代のある男性は
 「地震が起ってから4日ぶりに飲んだ」
と語る。
 20代の女性は何度も「おいしい」と言いながら涙を流した。

 津波など巨大災害への備えは、韓国と日本では大きく異なる。
 韓国では兵士や公務員が事故直後から大量に現場に投入され、救助作業に動員される。
 泰安での原油流出事故では、全国各地からボランティアが集まった。
 しかし日本ではそのような雰囲気はない。

 もちろん主な現場には常に自衛隊員がおり、ボランティアも小規模ではあるが活動している。
 日本の民間ボランティア団体によると、何の準備もなしに現場にはいると、避難中の被災者に迷惑をかけてしまうため、現場に入る際には非常に慎重になるという。

 時にはあまりにも融通が利かないと感じることもある。
 日本は細かく決められたマニュアル通りに動く「マニュアル社会」だ。
 しかしマニュアルにこだわるあまり、周囲の状況に合わせて迅速に動けない様子を目にすると、残念に感じることもある。

 一例を挙げると、徹底して調査を行うという理由で、災害地域にある駅にはすべてバリケードが張られている。
 高速道路もすべて通行止めとなっており、復旧も遅れている。
 それらが原因で物流がストップすると、物資の供給も結局は遅れてしまう。
 マニュアルに記載された状況には完璧に対応できるが、今回の津波のようにマニュアルで想定する以上の災害が発生した場合には、マニュアルシステムは逆に大きな混乱を招いてしまう。

 首都の東京では物資は十分にあるが、物流の混乱で支援が滞る状況が続いている。
 日本政府は各地でガソリンや灯油が足りなくなる状況になっても、これといった対策を施さなかった。
 そのため買い占めの兆候が起ると、14日深夜になってやっと民間用備蓄分の放出を決めた。

 余震や原子力発電所の事故を伝えるニュースが相次ぐと、いつも落ち着いている日本人も、これまでになく深刻に受け止めはじめているようだ。
 インスタントラーメンや水、乾電池などの買い占めも各地でみられるようになった。

 政府に対する日本人の信頼は高い。原
 発が不安な状況にあっても、とりあえずは政府の発表を信じ、電気がストップしてもまずは受入れている。
 断水が起る状況でも「何か理由があるはずだ」と納得しようとする。
 黙々と列を作り、不満を言わず政府の指示に従っている。

 しかし地震から5日が過ぎると、日本人も徐々に怒りだしているようだ。
 政府の対応が国民の信頼を揺るがすほど後手に回っているからだ。



朝鮮日報 記事入力 : 2011/03/16 14:02:37
http://www.chosunonline.com/news/20110316000056

【萬物相】NHKの災害報道

 日本の公共放送NHKで、記者たちが地震や台風などの災害に遭った人たちを取材する際、まず掛ける言葉がある。
 「このたびは大変なことでご苦労なさいましたね」
 「頑張ってください」
だ。
 記者たちは被災者の写真を撮る際、許可を得てから撮影する。
 弁当は取材相手の目につかないよう、車内で食べる。
 公衆電話は災害被害者が優先的に使用するため、携帯電話を使う。

 マニュアルには、災害を報道する際の要領も詳しく決められている。
 アンカーや記者は、無意識のうちでも「大きい」「激しい」「厳しい」のような表現が入った言葉は使ってはいけない。
 視聴者たちを興奮させ、不安にさせるためだ。
 地震については「相当な揺れ」「強い地震」くらいの表現まで使うことができる。
 「○○だろう」というようなあいまいな表現、「全滅」のような過大な表現も使ってはいけない。

 NHKは国民が支払う視聴料で運営されている公共放送のため、災害が起きた際、迅速かつ正確な報道を行うことを最も重要な使命として掲げている。
 災害報道の目標は、災害の被害を最小化することだ。
 効率的で模範的な災害報道要領を体で覚えるため、NHKニュースセンターでは毎晩、仮想の災害報道訓練が行われている。
 NHK東京放送局の災害報道責任者たちは非常時に駆け付けられるよう、放送局から半径5キロ以内に居住しなくてはならない。

 史上最悪といわれる今回の大震災でも、NHKの災害報道が光った。
 NHKのアンカーや記者たちは、数万人が死亡あるいは行方不明になり、50万人の被災者が出た惨劇を報じながらも、平常時のように落ち着いた声だった。
 NHKの画面には真っ赤な火の手や、家族を亡くし泣き叫ぶ人の姿は映らなかった。
 その代わり、水道、電気、ガス、交通、病院の情報や、住民の避難生活に必要な情報を何度も繰り返し放送した。

 日本の災害で、より興奮したのは韓国のマスコミだった。
 公営、民営にかかわらず
 「痛哭(つうこく)」「壊滅」「阿鼻(あび)叫喚」「修羅場」「焦土化」「幽霊都市」「荒れ地」「暗黒世界」
のような言葉を並べ立てた。
 道路は「完全に」その機能を失い、津波は「ものすごい」破壊力を見せ、都市が「丸ごと」消えたと報じた。
 日本の国民が大災害の中、冷静に落ち着いて対処している姿を見て、外信が
 「人類精神の進歩を見た」
と報じたのには、日本の良質な公共放送が果たした役割も大きいだろう。


 NHKニュースはここではまったくダメだった。
 もちろん、スクランブル除去装置を借り出している人は別だが。
 私は日本にいてもテレビはほとんど見ない。
 NHKテレビの必要性は「NHKスペシャル」を見るときだけである。
 前にも書いたがインターネットでまるでNHKはダメだった。
 神戸大震災のときはインターネットもスクランブのかかったNHKの放送もなかった。
 こちらのテレビでやってくれるニュースを見るだけで、全くの表面をなぞるだけのものであった。
 あのときと比べ、今回はすごい。
 圧倒的な情報量である。
 なにがすごいたって、インターネットの威力だ。
 日本のテレビ番組が同時に見られるのだ。
 本当に恐ろしい時代が来たものである。
 個人的には電話はかからないが、ちゃんと情報はメールでやりとりできるのである。




== 東日本大震災 == 



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