2011年3月14日月曜日

東日本大震災:メルトダウンは(1)

_

● 福島原発




[ 2011年3月15日 ]




ウオールストリート・ジャーナル 日本版 2011年 3月 15日 6:44 JST
http://jp.wsj.com/Japan/node_199061

福島原発の状況、14日に深刻化

【東京】福島原発の原子炉の1つでの燃料棒の溶解と他の2つの原子炉で冷却作業に支障が生じるなど、同原発をめぐる状況は14日、深刻化した。

 当局者らは14日遅くに、被災した福島第一原子力発電所の1-3号機全部について、原子炉炉心のある程度の溶融の可能性が高く、状況悪化の場合には放射線漏れの危険につながる可能性があることを明らかにしていた。
 このことは様々な原子炉の冷却作業にもかかわらず、原子炉の内部の温度が引き続き危険なほど高いことを示唆している。

 14日にはいったんは安定していた福島第一原子力発電所2号機の状況が悪化し、1号機と3号機と同様な冷却問題が生じた。
 同日夜遅くには2号機の燃料棒すべてが露出した。

 一方、3号機の14日朝方の爆発で天井が崩壊したものの、当局者らは格納容器に破損はないと表明した。




毎日JP 2011年03月15日
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110315ddm002040071000c.html

東日本大震災:福島第1原発、幾重の防御策不能 水位回復に苦心、異常の連鎖断てず

 東日本大震災に見舞われた東京電力福島第一原発で14日、2号機の燃料棒が一時、冷却水から完全に露出するという、前例のない事態が2度も起きた。
 一時的な「空だき状態」で、最悪の場合は米スリーマイル島原発事故のような非常事態につながりかねない。
 同日午前には、3号機の原子炉建屋(たてや)で水素爆発が発生。
 完璧な管理によって、その安全性を強調してきた日本の原発は、前代未聞の制御不能状態に陥っている。

 2号機では14日午後、原子炉圧力容器内の水位が一気に低下し始めた。
 このため、原子炉建屋が爆発した1、3号機よりも優先して注水作業が続けられたが、水位の低下を止められず、約4メートルある燃料棒全体が露出する「空だき」状態が一時的に発生した。

 注水で水位は上昇したが、その後再び同じ状態になった。
 万が一、水位が回復しなければ、燃料棒が溶ける炉心溶融が進行し、原子炉内の燃料の大半が溶ける「メルトダウン」と呼ばれる事態になる恐れがあった。
 これは原子炉自体が損傷し、放射性物質が外界に拡散しかねない事態だ。

 国内では、日本の原発運用は、あらゆる危険性を排除する幾重もの防御策が整備されているため、米国で起きたスリーマイル島原発事故のような事態は起きないとされてきた。

 元原子炉設計技術者で、福島第1原発4号機の設計にも携わったライターの田中三彦さんは
 「もし空だきが続けば燃料は溶け落ち、原子炉圧力容器の底に向かってしまう」
と指摘する。

 炉の床は合金製で、1500~1600度の温度で溶け出すため、「最悪の場合は炉床が抜ける危険性もある。
 水が注入できない状態は、(それができた)スリーマイル島原発事故より深刻な事態」と危惧する。

 小林圭二・元京都大原子炉実験所講師(原子炉物理)は
 「水がなくなって、核燃料が融点を超えると、周囲も高圧になって水が入りにくくなる。
 今回のように電源がなくなり緊急炉心冷却装置も作動していない場合は、とにかくあらゆる手段で注水し、燃料棒を冠水させていくしかない」
と指摘する。

 一方、有冨正憲・東工大原子炉工学研究所教授(原子力熱工学)は
 「空だきの状態が2時間20分も続いた場合、燃料棒の一部が溶けている恐れがある。
 ただし、その後、圧力容器内に水が満たされていれば、溶けた燃料が水の中で固まるため、圧力容器が損傷する心配はまずないと考えていい」
と話す。

 ◇現状つかめず後手

 地震発生から4日目を迎えても、原発の制御ができないことについて保安院は
 「注水のための消防車の確保も困難になっている。新たな冷却方法を確保することが必要かもしれない」
と危機感を募らせる。
 東電も対応に追われ、正確な現状把握ができていない。

 福島第一、第ニ原発でトラブルが発生している原子炉は、地震発生時、運転中で、自動停止後、冷却ができない状態に陥った。
 このため、東電は水や海水を原子炉圧力容器などに入れ冷却を試みているが、思うようにいかない。
 原子炉内の計測器が故障している可能性も高く、炉内の状態把握すらおぼつかない。

 保安院は
 「出力の高い給水ポンプが地震で使えなくなり、出力の低い消火用ポンプに頼るしかなかった。
 そもそも圧力容器内の圧力は高く、注水は難しいのに」
と頭を抱える。

 東電の現状把握と情報公開は出だしからつまずいた。
 当事者であるにもかかわらず、トラブル発生時の会見は、政府の会見後。
 14日午前に発生した3号機での爆発時、東電の担当者は報道陣から爆発について問われ、慌てて確認に走った。
 1号機で水素爆発が起きた際は、発生から保安院の会見まで2時間半、東電の会見までさらに1時間半かかった。

 関西大学の永松伸吾准教授(防災減災、危機管理)は
 「政府などは最悪のケースを国民に示したうえで対策を公表すべきだ。
 『国民がパニックになる』と公表に反対する人もいるが、回避したい最悪のシナリオを見せないと、逆に根拠のないうわさを招く」
と話す。

 ◇3号機爆発 陸へ影響「限定的」

 14日起きた3号機での水素爆発によって、原子炉建屋の上部外壁が吹き飛んだ。
 建屋から飛散した放射性物質はどんな影響を及ぼす可能性があるのか。

 東電によると爆発当時、西~北西の風が吹いていた。豊橋技術科学大の北田敏廣教授(大気環境工学)は
 「今日のような雲の多い日は海陸風があまり目立たず、大部分は太平洋方向に流れたと考えられる。陸地への影響は少なく、健康に影響が出ることはないだろう」
と見る。
 一方、
 「放射性物質が付着した微粒子の大きさにもよるが、1000分の1ミリ以下だと滞空時間はかなり長くなり100~200キロ運ばれることも珍しくない」
と話す。

 実際、1号機で水素爆発が起きた12日午後に放出された放射性物質は南風に運ばれ、13日未明、約120キロ北にある東北電力女川(おながわ)原発で基準値を超える21マイクロシーベルト(1時間当たり)の放射線量が観測された。

 北田教授は
 「晴れた日の昼間は海から陸へ風が吹く。
 それまでに何とか(放出する事態を)終息させてほしい」
と話した。

 原子炉内の燃料棒は通常水中にあり、水を循環させて水温をコントロールしている。
 しかし震災で循環が止まったため、熱で水が蒸発し、水位が下がった。
 露出した燃料棒は過熱状態となり、燃料棒を覆う管のジルコニウムが水と反応して水素が発生した。
 水素は高温になるほど多く発生するため、爆発の危険性も高まる。

 3号機の爆発は、1号機より大規模だったとみられる。
 NPO法人「原子力資料情報室」の上沢千尋さんは
 「(1号機より)燃料棒の溶融が進んだために水素が大量発生したか、格納容器内から建屋への水素の漏えいが想定以上なのではないか」
と話す。

==============

 ■ことば  メルトダウン

 燃料棒を納めた原子炉圧力容器内で、冷却水がなくなるなどして炉心が異常過熱し、燃料棒が溶け出す現象。
 やがて溶けた燃料が圧力容器の底を溶かして外側の格納容器内に落下、水などに触れて大爆発を起こし、大量の放射性物質を外界にまき散らす危険性がある。
 79年3月、米ペンシルベニア州スリーマイル島原発2号機で起きた事故は、給水ポンプが停止して炉心の圧力が上昇。
 圧力を逃がす弁が開いたままになり、メルトダウンにつながった。





msn産経ニュース 2011年3月15日  05:53
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110315/dst11031505530010-n1.htm

福島2号機 「冷却」に欠陥、致命傷 安全3原則、破綻

 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原子力発電所では、緊急炉心冷却装置が機能不全に陥り、2号機の燃料棒の完全露出、1、3号機の建屋内の水素爆発と、国内の原発史上例のない事故を引き起こした。
 想定外の大型地震で10メートルを超える津波が発生したとはいえ、原発の安全確保の3原則である「止める」「冷やす」「閉じこめる」のうちの1つが機能せず、危機対策が欠落していたことは否めない。



 福島第1原発は、1~3号機すべてで海水による冷却が行われた。
 12日に水素爆発を引き起こした1号機は、炉心溶融を確認してから海水を大量注入した。
 海水注入は事実上、原子炉の廃止を意味する「最後の手段」だが、専門家からは「より早く海水注入を決断すべきだった」との批判が上がった。

 1号機と3号機で水素爆発を招いた反省から、2号機では、14日正午すぎ、水位低下が始まった段階で消防車のポンプによる海水の注入を開始した。
 だが、原子炉内の圧力に負けて注入は思ったように進まなかった。
 午後6時すぎに炉内の蒸気を大気中に放出させ、圧力を低下させる措置をとったものの、6時22分には水位がゼロになる「空だき状態」になった。

 11日の地震発生直後、1~3号機には原子炉内の核分裂反応を抑える制御棒が挿入され、緊急停止した。3原則のうちの「止める」は健全に機能したといえる。
 だが、「冷やす」についてはどうだったか。14日に水素爆発を起こした3号機は当初、原子炉内の水位が燃料棒の上まであったが、13日には水位が低下し、炉心溶融が起こった。

 水位を維持できなかった原因は、地震と津波で、外部からポンプで水をくみあげるための電源が失われたことだ。
 3号機は、給水管に付けられた弁がバッテリー切れで閉じたことで水位が下がった。

 東電は震災発生以降、1、2号機に対し、電源車の発電機で電力を供給しようとしたが、「被曝(ひばく)量を抑えるために短時間しか作業できない」(原子力安全・保安院)うえ、周辺の瓦礫(がれき)が作業の障害になり、発電機のケーブルを接続できなかった。

 1号機の炉心溶融では、消防車のポンプで消火用ラインから炉心に真水を入れていた際に、水の調達に手間取り、十分な水を注入できないという「誤算」も、事故を拡大させた。







[ 2011年3月14日 ]


ロイター 2011年 03月 14日 18:40
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-20004820110314

福島第1原発2号機も冷却機能停止、1号機と3号機も海水注入停止

 [東京 14日 ロイター] 
 経済産業省原子力安全・保安院は14日夕、福島第一原子力発電所2号機で同日午後、原子炉の冷却機能が停止したと発表した。
 東電は海水を注入し、冷却させる作業に入った。
 1号機と3号機にも海水を注入する作業に入っていたが、現在止まっている。

 1、2、3号機とも海水の注入により冷却させることになるが、14日午前に起こった3号機の水素爆発で東電が用意したポンプ車などが破損。
 用意した5台のうち、1台の稼働は確認できているが、残り4台は稼働するかどうか確認している。
 このため、海水の注入作業は一時停止を余儀なくされているという。

 2号機の燃料棒を冷やすための水位は冠水しているという。
 3号機は燃料棒を満たす水位が足りず、燃料棒の先端がき損している状態が続いているとした。
 原子炉格納容器は1―3号機とも機能を維持しているという。




日経web  2011月03月14日  13:16
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819595E3E6E2E3E08DE3E6E2E1E0E2E3E39F9FE2E2E2E2;bm=96958A9C93819595E3E6E2E3878DE3E6E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2

福島第一原発2号機、冷却機能を喪失 建屋に穴も検討
福島原発3号機、炉心溶融の可能性 爆発で11人負傷

 東京電力福島第一原子力発電所3号機で14日午前11時1分、原子炉建屋が煙を上げて水素爆発が起き、負傷者が出た。
 東電によると、炉心溶融が起きている可能性がある。
 経済産業省原子力安全・保安院は、原発から半径20キロメートルに残る住民425人に屋内退避を呼びかけた。
 枝野幸男官房長官は午前11時40分すぎの記者会見で「放射性物質が大量に飛び散っている可能性は低いと考えられる」と述べた。
 1号機の爆発に続き、未曽有の事態に発展した。

 爆発が起きた詳しい場所や、建屋の中心部にある原子炉格納容器などの詳細な状態は分かっていないが、枝野官房長官は会見で
 「東電の現地所長の報告として、原子炉格納容器は健全であるという報告が来ている」
と述べた。
 原発敷地周辺の放射線の測定値が異常な上昇を示していないためという。

 また、東電の小森明生常務は14日記者会見し、3号機の原子炉の状態について
 「1号機と同じことが起きている可能性がある」
と指摘、炉心溶融の可能性を示唆した。
 負傷者は午後0時55分時点で作業員ら11人。
 東電社員や協力会社の作業員とみられ、数人が打撲などを負ったもようだが、詳細は確認中と説明している。

 保安院によると、原発正門近くの測定値は、毎時20マイクロ(マイクロは100万分の1)シーベルトと通常の状態を示している。
 今後、現場周辺のデータを集め、放射性物質が漏洩していないか確認する。

 一方、避難区域である半径20キロメートル以内には病院などに425人の住民が残っているという。
 水素爆発によって屋外に放射性物質が漏れる恐れがあることから、保安院はこうした住民に対し、屋内に退避するよう呼びかけた。

 3号機では燃料被覆管が高温になって水と反応し、水素が出ていたとされる。
 この水素が原子炉建屋にたまり、爆発したと考えられる。
 水素を逃がすため、建屋の壁パネルを取り外す検討も進めていたが、危険があり実施していなかった。

 3号機は1号機より原発の発電能力が大きいため、建屋も大きい。
 建屋にたまる水素が多いため、爆発の規模も1号機より大きくなると専門家が指摘していた。

 福島第一原発では12日、1号機でも水素爆発が発生。
 建屋の上部が吹き飛んだが、原子炉格納容器の爆発には至らなかったという。
 1、3号機は原子炉の温度を下げるため、海水とホウ酸水の注入を続けていた。

 ただ、海水をいったんためておく海水ピットの水量が減り、1、3号機とも海水注入を一時中断。
 その後、海水ピットに海水を補給し、海水の注入を再開していた。

 3号機では午前6時50分にも原子炉格納容器の圧力が上昇し、作業員が一時退避。その後、格納容器の圧力が安定したため、作業を再開していた。
 圧力を逃がすため、弁を開放して原発外部に空気を放出することも検討していた。






[初期 ニュース]

 福島原発は第一の6基のうち1号機、3号機の廃炉がきまり、2号機は放射能物質を放出することになった。
 つづいて第二の4基のうち1号機の廃炉が決まった。


毎日新聞 2011年3月14日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110314ddm003040083000c.html

東日本大震災:福島第1原発、3号機も炉心溶融 専門家「非常に深刻」

 東日本大震災に被災した東京電力福島第一原発(福島県)について、枝野幸男官房長官は13日、1号機に続いて3号機でも炉心溶融が発生し、大量の水素の発生によって、1号機のように原子炉建屋(たてや)が爆発する可能性があると発表した。
 国の耐震基準をクリアし、「世界一安全」と関係者が胸を張ってきた原発だが、相次ぐ重大トラブルに、菅直人首相も「憂慮すべき状態が続く」と述べた。
 前代未聞の状況をどう脱却するのか解決の糸口は見えない。

 東京電力は同午前9時すぎ、3号機の圧力容器内に水を入れ始めたが、給水ポンプに異常が発生。
 給水が止まって容器内の水位が大きく低下した。
 同午後1時12分、給水を海水に切り替えたものの、不安定な状況になった。
 同午後11時半現在も水位が完全には回復せず、燃料棒が十分冷却できない状態となっている可能性がある。

 経済産業省原子力安全・保安院は「圧力容器内では水面から燃料棒が露出し、損傷した」と話し、炉心溶融しているとの見方を示した。
 原発の燃料棒が溶ける「炉心溶融」は、スリーマイル島原発事故(79年、米国)、チェルノブイリ原発爆発事故(86年、旧ソ連)でしか起きていない。
 それが日本で相次いで発生したことになる。

 原子炉の燃料棒は通常、水中にあり、核分裂による熱が除かれる。
 だが、今回は原発の電源が落ちて水の循環が止まり、冷却できなくなった。
 その結果、水が沸騰して蒸発し水位が低下、燃料棒が水面から露出することになった。

 東電によると、3号機は13日午後1~3時にかけて、4メートルある燃料棒のうち2メートル露出したという。
 露出して温度約700~800度に上がると、燃料棒を覆う被覆管のジルコニウムが水蒸気と反応して水素が発生し始める。
 この水素が、配管などから原子炉建屋に漏れ出し、建屋上部にたまっている可能性があるという。
 さらに温度が上がり、被覆管が燃えつきて核燃料があらわになるとセシウムなどが発生する。

 吉川栄和・京都大名誉教授(原子炉安全工学)は
 「高温になるほど反応が強い。長時間、長い燃料棒が水面から露出すると、大量の水素が発生することになり爆発の危険性が高まる。非常に深刻な状態だ」
と話す。

 最初に水を入れていた給水ポンプの故障を受け、東電は1号機に続いて、3号機も海水注入に踏み切った。
 海水を炉内に入れると、廃炉になる可能性が高い。

 他に福島第1の2号機も水位が下がった。

 吉岡斉・九州大教授(科学技術史)は
 「まったく異常な事態だ。非常に危険な事故で、この先も何が起こるか分からない」
と話す。
 
 ◇電源確保にもろさ ポンプ、冠水で動かず

 原発は、想定以上の規模の地震に見舞われても、原子炉を安全に停止させ、放射性物質の漏出を防ぐ「多重防護」が巡らされている。
 ある部分が壊れても別の仕組みで補い、致命的な事故を防ぐ「フェールセーフ」という設計思想を反映している。
 例えば、核燃料は合金製の被覆管や頑丈な原子炉圧力容器など「五つの壁」で、外部への放射性物質の拡散を防ぐ。
 だが、今回は「少なくとも10メートルの高さ」(東電)という津波で電源機能が失われ、多重防護が働かず、炉内の冷却や放射性物質の封じ込めに失敗した。

 原子炉は大地震発生時に、核分裂を抑える制御棒が自動的に挿入され、核分裂が継続する臨界状態から脱する。
 さらに緊急炉心冷却装置(ECCS)が働き大量の水を注入して冷やす。
 福島第1、第2原発では地震の揺れに対して、全10基(第一6基、第二4基)が想定通り停止した。
 しかし、直後の津波は、各原子炉に2系統ずつある非常用発電機を動かすポンプなどの設備を冠水させ、注水に必要な電源が失われた。

 ECCSのほかに2系統ある注水システムが使えなくなり、消火用配管からの注水も手間取った。
 冷却手段を失った結果、炉内の温度や圧力が上昇し、福島第1原発1号機では原子炉建屋内にたまった水素が酸素と反応して爆発。
 建屋上部の壁を吹き飛ばし、放射性物質を飛散させる重大な事態を招いた。

 東電によると、非常用発電機は原子炉やタービンと同じ重要度で、もう少し標高の高い場所にあるが、ポンプなどは重要度がやや落ち、津波に冠水した。
 東電の小森明生常務は「あまりに想定外の高さだった。
 原発はかなりのタフネス(頑健さ)を持っていると思っていたが、電源の重要性を再度、しっかり考えなければならない。
 重い、厳しい教訓だと、率直に受け止めている」と唇をかむ。

[★]
 福島第ニ原発でも1号機、2号機、4号機で異常が確認されるなど、計6基が十分冷却できていない。
 福島県と東京電力は13日、原子炉圧力容器内の水位を保つための機器が故障した東電福島第ニ原発1号機(楢葉町)について、修理が進まない場合は炉内の圧力が高まって爆発の危険があるため、14日午前3時にも弁を開けて、放射性物質を含んだ蒸気を外部に放出する方針を明らかにした。
 東電は復旧に努めているが、同様に同2号機も14日午前6時から蒸気の放出を検討している。




日経web 2011/3/14 9:43
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819595E3E6E2E2E48DE3E6E2E1E0E2E3E39F9FE2E2E2E2;at=ALL

福島第ニ原発1、2号機を冷却開始

 東京電力は14日、福島第2原子力発電所1号機について、原子炉を冷やす海水を送るポンプのモーターの交換を終え、同日午前1時24分から冷却を始めたと発表した。
 順調に進めば、午前中にも原子炉内の水温がセ氏100度以下に下がって「冷温停止」と呼ぶ安全な状態になるとみている。

 福島第ニ原発では3号機がすでに冷温停止し、安全が確認されている。
 1、2、4号機は原子炉の制御棒が入り運転は止まっているが、原子炉格納容器の圧力抑制室の冷却水がまだ100度以上になったままで、温度を下げる必要がある。

 このうち1号機はポンプのモーターの作動確認や交換を終え、午前1時24分からポンプで海水を送る作業を始めた。
 2号機も冷却機能が回復し、午前7時13分から冷却を開始した。
 このまま冷却が進めば、2号機も3号機と同様、冷温停止の状態になる可能性がある。


 「第二の1号機の廃炉」は決まった。


25today.com 社会 - 2011年3月14日
http://www.25today.com/news/2011/03/post_5350.php

「メルトダウンの影響は小さい」
豪原子力専門家スイトコウスキー

 3月14日、オーストラリアでもっとも著名な核科学者ジギー・スイトコウスキー博士は、
 「地震で破損した日本の原発が炉心溶融しても、その影響は地震やその後の津波の被害に比べればはるかに小さい」
と述べている。
 スイトコウスキー博士は、最近まで核研究機関「Australian Nuclear Science and Technology Organisation (ANSTO、豪核科学技術機構)のトップの座にあり、国内では原子力発電推進派リーダー格として知られている。

 フェアファクス系ラジオ・ネットワークのインタビューに答えた博士は、
 「放射能が多量に蓄積することはまずありえない。
 原発事故災害の規模は最悪シナリオでもかなり小さいものになる。
 原子炉の安全性に関する市民の不安が正当だということは否定しない。
 日本の原発はおそらく世界のどこの原発とも同じくらい優れていると思われるが、これはマグニチュード9の地震であり、原発設計の限界的な試煉だ。」

 「とはいえ、日本の原発事故は非常に深刻で、1979年のアメリカのスリー・マイル・アイランド(TMI)原発事故と同じ水準だろう。
 TMI原発事故では炉心溶融が起き、原子炉が破壊された。
 日本の事故原発はまだその段階には至っていないが、冷却装置が働かなくなった原子炉の溶融と放射性物質の漏出を防ぐことが最大の課題であることに変わりはない。
 炉心溶融が起きれば、建屋内部が補修不可能なところまで破損するが、次第に落ち着くはずだ。
 もう一つ予想される成り行きとして、爆発はあくまでも高熱金属表面で水分子が分解してできる水素が燃える化学爆発である。
 原子炉の核燃料で核爆発が起きることはない。」

 「しかし、原子炉の建屋が破損し、放射性物質が空気中に放出されることになる。
 だが、炉心の圧力容器や格納容器が破壊されて大量の放射性物質が放出される事態はほとんど考えられない」
と語っている。
 
 さらに、住民全員が20km圏外に避難したことについても、
 「20km圏外に放射性物質が多量に広がる可能性は非常に低い」
と答えている。(AAP)





== 東日本大震災 == 



_