2011年3月13日日曜日

宗教界の政治介入

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● 朝鮮日報より


 先日、大統領膝まづく、という記事があったが、それをめぐって韓国内の宗教人の傲慢さが問題になっているようだ。
 朝鮮日報から。


朝鮮日報 記事入力 : 2011/03/13 12:22:54
http://www.chosunonline.com/news/20110313000026

 韓国の先進化を阻む「地域」と「宗教」

韓国社会の新たな確執
宗教団体の世俗化が進む
問題が発生する度に自分たちの利益を露骨に追求
政府による調整能力が不十分
地域対立の火種にも

 韓国社会では現在、圧縮成長のマイナス面として、さまざまな問題が一気に吹き出している。
 こうした複数の対立が絡み合い、新たな対立を生み出す構図がすでに定着してしまっているのだ。
 これは一種の成長痛とも言えるだろう。
 最近も新たな対立が次々と表面化し、韓国社会において先進化の障害となっている。
 サムスン経済研究所によると、韓国の社会対立指数は経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国の中でトルコ、ポーランド、スロバキアに続いて4番目に高い。
 昨年、ある放送局が実施した世論調査では
 「韓国社会での対立が10年前に比べ深刻化した」
という回答が80%を占めた。


● テンプルステイ予算の削減問題をめぐり、政府と仏教界の対立が深まっている。
 その影響で、ソウル市内の曹渓寺など、曹渓宗の主な寺院では、「政府関係者と与党ハンナラ党議員の立ち入りを拒否する」と書かれた横断幕が掲げられている。

■新たに登場した地域問題と宗教問題

 社会統合委員会によると、1990年から2008年にかけて韓国では、公共的性格を帯びた対立や論争が計624件発生した。
 その原因としては労働問題が185件で最も多く、続いて地域対立119件、環境問題69件、教育問題76件、イデオロギー対立44件の順だった。
 しかし昨年のスト件数は、09 年の121件に比べ28.9%減の86件だった。
 これは06年以降では最も少なく、かつて韓国社会で最も大きな不安要因とされた労使対立が、今では統制可能な段階へと落ち着きつつあることを示している。
 違法な集会やデモの件数も、08年には1916件だったのが、09年は1369件、10年は670件と、毎年大幅に減少している。この傾向は、以前のような「民主対反民主」といった対決構図が弱まり、同時にイデオロギー対立も弱まりつつあることを意味している。

 しかし労使対立とイデオロギー対立が弱まった一方、それに反比例するかのように、より大きな新しい対立の火種が登場した。
 まず、地域対立が以前に比べ深刻化している。
 世宗市計画修正問題をめぐる対立や科学ビジネスベルト、新空港誘致競争などがその典型例だ。
 プロジェクトが大規模になるほど、誘致競争に名乗りを上げる地域が増え、また規模の大きい自治体が名乗りを上げるのも当然のことだ。
 科学ビジネスベルト誘致の動きに関しては、忠清道、湖南(全羅道)、嶺南(慶尚道)、首都圏の一部大都市など、ほぼ全国に広がっている。
 地域住民はもちろん、地方自治体や政府、与野党の政治家までもが、それぞれ異なった地域を後押ししているとのうわさもあり、それに伴って対立の度合いもますます激しくなっている。

 李明博(イ・ミョンバク)政権発足後は、宗教も韓国社会での対立をあおる大きな要因として登場した。
 これまで宗教は、韓国社会で対立を仲裁する役割を果たしてきたが、最近は逆に対立の当事者となっているとの批判も相次いでいる。
 4大河川(漢江・洛東江・錦江・栄山江)再生事業にはカトリック教会が、イスラム債券法にはプロテスタント教会が、またテンプルステイ予算問題では仏教界がそれぞれ反対を表明している。
 このように宗教界が介入する問題は、イデオロギー対立のような側面がある一方で、宗教団体の利益と世俗の利益が相反することから、宗教団体側が自分たちの利益を確保するために対立を引き起こすという側面もある。
 また、異なる宗教同士の大小さまざまな対立や衝突も、以前に比べ増加している。

■新たな対立の原因

 地域対立がより広範囲なものへと拡大し、激化している最も大きな原因は、政府の調整力が不十分で、各地方自治体をしっかりと統制できないことにある。
 つまり政府の力が以前ほどではなく、むしろ地方の力が強まっているという意味だ。
 ソウル大学のカン・ウォンテク教授は
 「本来は政界が調整力を発揮すべきだが、現在の政党構造は地域対立を解消できる形になっていない」
と指摘する。
 大統領直属社会統合委員会の宋錫球(ソン・ソック)委員長は最近
 「地域社会でのさまざまな対立を解消するため、16の道や広域市にそれぞれ協議体を発足させる」
と発言したが、それだけでは解決できない複雑な問題が数多く発生しているのが現実だ。

 宗教対立が以前に比べ増している要因として
 「李明博政権はプロテスタント教会に近い
との印象が広まっていることが挙げられるが、
 より本質的な問題は「宗教の世俗化」だ。
 過去の権威主義政権の時代には、宗教団体ごとに各自のイデオロギーに基づいて親政府、反政府という具合に色分けされたが、最近は個別の問題ごとに各宗教団体の対応が多様化している。

 韓神大学のユン・ピョンジュン教授は
 「韓国社会には信頼という社会資本が不十分だ。
 多元化社会に入るほど、事実と合理性を尊重する社会風土が定着しなければならない」
と指摘する。




朝鮮日報 記事入力 : 2011/03/13 10:26:48
http://www.chosunonline.com/news/20110313000009

【コラム】政治と宗教の対立、飛び火を防げ

 韓国社会では最近、宗教が引き起こした緊張がこれまでになく高まっている。
 宗教が原因で起こる摩擦は、主に宗教界と政府・与党が対立する形となって表れている。
 李明博(イ・ミョンバク)政権は発足直後、宗教偏向の是非をめぐり仏教界と衝突し、4大河川(漢江・洛東江・錦江・栄山江)事業が本格化してからは、カトリック系団体が反対運動を繰り広げた。
 李政権に友好的だったプロテスタント系団体も、最近ではイスラム債券法の推進に反発している。
 1970-80年代の権威主義の時代にも、民主化運動を繰り広げる一部の宗教団体と政府・与党の関係はぎくしゃくしていたが、今回は各宗教の指導部が政府批判の前面に立っているという点で、過去の状況とは異なっている。

 政治と宗教の摩擦は、それ自体も問題だが、宗教間の摩擦に飛び火する可能性もあるため、さらに危険だ。
 宗教関係者が政治的・社会的理由で街に繰り出せば、他の宗教の信者や無宗教の人々の視線は穏やかではない。
 ときには鋭い反応も示す。
 先日、国家朝食祈とう会で李大統領がひざまずいて祈りをささげたことが騒動を巻き起こした際、仏教の青年団体が
 「キリスト教の根本主義者たちに、ひざまずいて許しを願ったのではないのか。
 中世時代の神聖ローマ皇帝ハインリッヒ4世の『カノッサの屈辱』を連想させる」
と批判した。

 これ以外にも、韓国社会では宗教同士の摩擦が次第に激しくなっている。
 昨年は、一部の仏教寺院でプロテスタント信者が騒動を起こしたほか、大邱の八公山歴史文化公園の造成や韓国高速鉄道(KTX)蔚山駅の駅名に「通度寺」を併記することなどをめぐり、同地域のプロテスタント団体と仏教団体が対立するなど、主な宗教間の摩擦が表面化したこともあった。
 韓国では仏教信者1200万人、プロテスタント信者900万人、カトリック信者500万人など、全人口の半数以上が何らかの宗教を信じている。
 そんな韓国で、宗教間の摩擦が激しくなれば、深刻な社会分裂を引き起こす可能性がある。

 宗教間の摩擦を解消するためには、まず宗教指導者らがほかの宗教に配慮することが必要だ。
 大統領にひざまずいて祈るよう勧めた吉自延(キル・ジャヨン)牧師は
 「大統領を降伏させ、権威を損なう意図は全くなかった。
 困惑しており、国民に対し恐縮している」
と語った。
 吉牧師の弁解は、変に疑わず、そのまま受け入れるのがよいだろう。
 吉牧師は、自然に出た自身のふるまいが、予想外に大きな騒動に発展したことについて、本当に困惑しているはずだ。
 だが、国家朝食祈とう会はプロテスタント団体の行事であると同時に国家的行事であるという点に、吉牧師がもう少し留意していれば、という残念な思いは残る。
 特に、宗教による緊張が高まっている最近の状況で、宗教指導者の発言や行動は、ほかの宗教を刺激しないよう最大限慎重を期すべきだ。

 宗教間の摩擦を緩和させるためには、宗教団体の首脳部や宗教連合機構も大きな役割を担うことができる。
 幸いにも韓国の宗教界には、韓国宗教指導者協議会、韓国宗教人平和会議(KCRP)など、複数の宗教団体が集まる機構がいくつかある。
 宗教団体の首脳部による対話という伝統も、60年代から続いている。金寿煥(キム・スファン)枢機卿や姜元龍(カン・ウォンヨン)牧師、青潭(チョンダム)僧侶、法頂(ポプチョン)僧侶ら宗教の大家たちが頻繁に顔を合わせ、互いを尊重する姿は、韓国国民を穏やかで安定した気持ちにさせた。

 宗教による社会の緊張を和らげ、宗教間の対立が一線を超えないようにするためには、宗教指導者と信徒、宗教専門家たちが腹を割って話し合う場が必要だ。
 「宗教が社会対立の新たな震源になった」
という外部からの相次ぐ指摘に対し、各宗教はもっと積極的に耳を傾けるべきだ。
 社会対立の調停者となるべき宗教が、反対に社会対立を招いている状況を、このまま放置してよいはずがない。





 [かもめーる]




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